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寝ごこち科学研究所

高温多湿環境条件下での敷き寝具素材による
入眠過程への影響に関する検討

ラークオール

敷きパッドの素材やマットレスに関する報告は今まで多数ありましたが、起きているときの布団の中の気候や快適感、沈みこみ、接触面の形状に関するものがほとんどで、実際の寝つきに及ぼす影響について検討したものは少ないという現状があります。

そこで、イワタでは高温多湿環境(日本の夏の環境を想定)条件での寝つきへの影響を、2種類のマットレスを用いて比較検討することを目的として、人工気候室にて日中の眠りについて調査しました。

対象

  • 心身ともに健康な成人男性11名(年齢:23.1±1.2歳)

 

寝具条件(※Table1 参照)

  1. 天然素材キャメル・ヤクを使用したマットレス「ラークオール
    (条件C:株式会社イワタ製)
  2. ポリウレタン製のマットレス(条件U)

上記の2条件を設定し、人工気候室(29℃、RH70%)にて日中仮眠をとるスケジュールで、睡眠ポリグラフ、皮膚温、寝床内気候やアンケート調査などを行いました。

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結果

眠りの状態(※Table 2参照)

イワタ製「ラークオール」を用いた条件Cに比べてポリウレタン製のマットレス(条件U)条件の方が、睡眠前半のREM睡眠が多いことが分かりました。

→体温調節が的確に働かない時期であるREM睡眠が増加することで、ポリウレタン製の敷き寝具の寝つきにくさや寝苦しさの原因となる可能性が考えられます。

lak table2

皮膚温(※Fig.1)

Fig.1に2条件の皮膚温の変化について示しました。青い折れ線グラフがイワタ製マットレス「ラークオール」、赤い折れ線はポリウレタンマットレスを示しています。グラフは上段が上腕の皮膚温、中段が下腿の皮膚温、下段が平均皮膚温をあらわしたものです。

上腕、下腿、体表面全体の平均皮膚温が睡眠前半では、条件Cの方が有意に低いことが分かりました。

→つまり、天然素材キャメル・ヤクを使ったマットレス「ラークオール」 は皮膚表面から熱を放散していた可能性が考えられます。

lak fig1

服の中の温湿度、布団の中の温湿度(※Fig.2)

Fig.2に2条件の服の中の温湿度、布団の中の温湿度の変化についてそれぞれ示しました。青い折れ線グラフがイワタ製マットレス「ラークオール」、赤い折れ線はポリウレタンマットレスを示しています。グラフ上の三角形は服の中の温湿度、丸形は布団の中の温湿度をあらわしています。

胸部分で測定した服の中の湿度は、睡眠中一貫して天然素材を使用したマットレス(条件C)の方が有意に低いことが分かりました。

また、胸部分で測定した服の中の温度と布団の中の温・湿度は、消灯後40分以降で条件Cの方が有意に低いことが分かりました。

→つまり、体に最も近い環境である服の中の温湿度、布団の中の温湿度ともに天然素材のキャメル・ヤクを使ったマットレス「ラークオール」の方が良好だったということです。

lak fig2

アンケート結果(※Fig.3) 

各条件ごとに、マットレスについて採点形式でアンケート聴取した結果をFig.3に示しました。青い棒グラフは、「ラークオール」を使用したとき、赤い棒グラフはポリウレタンマットレスを使用したときの評価を示しています。

これを見ると、マットレスの湿度が条件Uの方が条件Cに比べて高いと感じている得点 が有意に高いことが分かりました。

また、条件Uの方が条件Cに比べてマットレスの温度をもっと下げたいと評価していました。

→つまり、マットレスの温度や湿度についても、天然素材を使用したマットレス「ラークオール」でより良好と感じている人が多かったということです。

lak fig3
 

以上の結果から、吸湿・放湿性に優れている天然素材を敷き寝具に使用することで、睡眠中の熱放散をしっかりと行うことができ、かつ、衣服の中の温湿度や布団の中の温湿度を低く保つことができることが分かりました。

夏季と冬季に寝具を変える習慣の少ない日本では、睡眠中の熱中症が多発する最近の夏季の敷き寝具素材は、天然素材においてより良好な眠りを提供できる可能性を示していると考えられます。

※本研究は、2011年10月16日~21日に開催されましたWorld Sleep 2011 (京都国際会館)にて発表されたものです。
※本研究の内容を無断で転載しないでください。

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