株式会社イワタ(本社・京都市中京区)は、2010年7月1日~7月2日に開催されました日本睡眠学会第35回定期学術集会にて、「寝具による冬季の寝床内気候の改善が睡眠に及ぼす効果」について発表を行いました。
<日本睡眠学会第35回定期学術集会>
日時 :2010年7月1日(木)(7:30~)~7月2日(金)(17:30迄)
場所 :名古屋国際会議場
発表形式:ポスター発表(P-051)
発表日時:2010年7月1日(木) 11:20~12:20
大会URL:http://www.c-linkage.co.jp/jssr35/
寝具による冬季の寝床内気候の改善が睡眠に及ぼす効果
松尾 藍((株)イワタ)、岩田有史((株)イワタ)、松浦倫子(睡眠評価研究機構)、廣瀬一浩(千葉西総合病院産婦人科)、白川修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
冬季における寒冷環境では、睡眠中に暖房を常時使用しない人が多く、極めて不適切な温・湿度環境で就眠しています。そこで、良好な睡眠を確保するために、適切な寝具による寝床内気候の調整が有効であると考えました。寝具に関する実験は、その数も少なく、大部分が実験室内で若年者を対象としたものであり、フィールドでの睡眠を対象としたものは、知られておりません。
【目的】そこで、本研究では、自宅で中高年者を対象に、適切に調整された寝具が、寝床内気候と睡眠に及ぼす効果を検討するために、終夜睡眠時の寝床内気候と睡眠内容について、対象者が選択し、普段から慣れ親しんでいる従来の寝具を使用した寝具と比較検討しました。
【方法と対象】研究の目的を十分に説明し、同意の得られた健康な50歳以上の中高年者男女6例(男性1例、女性5例、50~59歳)
<スケジュール>
2009年12月~2010年2月の間に各参加者の自宅にて測定
①普段参加者が使用している敷き寝具、掛け寝具(C条件)
②冬季の寒冷環境で適切な寝床内温湿度を保てるように調整された寝具(E条件)
→掛け寝具:羽毛布団(ダウン90%)...詳細はこちら
→敷き寝具:3層敷きパッド ...詳細はこちら
①②の2条件を設定し、各条件5日ずつ、計10日間測定を実施しました。(クロスオーバーデザイン)

<測定項目>
・夜間睡眠中の寝室温・湿度
・夜間睡眠中の寝床内温・湿度(胸部・足部)
・活動量(アクチグラフAMI社製)
・主観的睡眠指標(OSA睡眠調査票MA版、入眠感尺度)
【結果】
普段の寝具(C条件)と調整された寝具(E条件)の
両条件間の室内温・湿度を比較したところ、
C条件で14.2℃、E条件で10.4℃とE条件の方が室内温度が3.8℃も有意に低いことが
分かりました(表1)。
寝床内の温度を両条件で比較した結果を図1に示しました。縦軸は、室温と寝床内温度の差分値
を算出したもの、横軸は、寝つきから2時間毎の睡眠経過を示したものです。
これをみると、胸部・足部ともにどの睡眠経過においても、調整された寝具(E条件)で温かいこと
が分かりました。特に、足部では条件間での有意差が認められました(p<.01)。
次に、寝床内湿度について図2に示しました。縦軸は、室内湿度と寝床内湿度の差分値を算出したもの、横軸は、寝つきから2時間毎の睡眠経過を示したものです。
寝床内湿度については、胸部・足部ともに調整された寝具(E条件)で、どの時間経過でも湿度が低い傾向にありました(p<.10)。
つまり、調整された寝具(E条件)では、寝床内温度を温かく保つとともに、寝床内が蒸れることなく湿度も低く調整し、快適な寝床内環境を作ることができていたことが分かりました。
寝床内気候を測定するとともに、本研究では、
アクチグラフを用いて、睡眠状態について評価
を行いました(表2)。
その結果、寝つきにかかる時間がC条件で11.8分だったのがE条件では9.8分と2分短縮し、夜中に目が覚める時間がC条件で12.4分だったのがE条件では8.3分と4.1分短縮していました。
主観的な睡眠感を測定するために、OSAの結果を図3に示しました。これを見ると、「疲労回復」得点がE条件の方が高く、有意に改善していることが分かりました(p<.05)。
そのほかにも「起床時眠気」「入眠と睡眠維持」において、E条件で得点が高い傾向にありました。
また、入眠感尺度の結果を図4に示しました。寝つきについても、E条件で得点が高く、改善していることが分かりました。

以上の結果から、適切に調整された寝具を用いることで、寝床内気候を改善することが示唆され、良好な寝床内気候を適切な寝具で確保できることが分かりました。
また、今回は各参加者の自宅での測定でしたが、フィールドでの評価でも、睡眠感が改善できるということが示されました。
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